1.『コンプライアンスって、結局なんなのさ!?』
~ 「コンプライアンス」≠「法令遵守」!? 一流メーカーの落ちた罠 ~
ウシ主任、質問があるんですけど。
【特命コンプライアンス室】に配属されるって決まってからネットでいろいろ調べてたんですけど、「コンプライアンス」って言葉の意味がいまいちハッキリしないんですよ。
とりあえず「法令遵守」って意味に捉えておけばいいんですかねぇ
「法令遵守」っていうと、ちょっと概念的な意味合いとして狭いと思いマスね。
アメリカでは、「コンプライアンス」という言葉は、「エシックス・コントロール(企業倫理のコントロール)」を意味するものと考えられており、「企業としての誠実さを追求して、社会的な企業価値を高めていくこと」と捉えられてマス。
現実として、日本でも、ただ法令を守って経営を行っていればイイというだけでは済まない事態が生じてマスからね。
例の「ガス湯沸かし器」のメーカーの一件をみると分かると思いマスが、あのメーカーは「法令遵守」という意味でのコンプライアンス経営はきちんと行っていたんデスよ。
実際、過去20年間に起こった事故の裁判で、メーカーとしての法令違反責任を問われたことはなかった。
でも、あのとおり・・・
確かに、しっかりと「コンプライアンス=法令遵守」で経営を行っていたはずの一流メーカーが、結果的には社会からの信頼を失うことになっちゃいましたからねぇ~
そうなんデスよ。
だから、現在日本で「コンプライアンス」という言葉の意味を定義するならば、「法令のみならず、企業倫理、つまりは一般的、社会的な倫理規範なども含めて、これを遵守する」という意味に捉えておくとイイんじゃないデスか?
なるほど、「コンプライアンス」って言葉がちょっと現実的になってきましたよ。
さすが主任、どうもです!!
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント)
【監修】 田島総合法律事務所
<参考文献>
郷原 信郎 著 「法令遵守」が日本を滅ぼす
コンプライアンス・オフィサー認定機構 「企業経営と企業倫理」
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