6.『サブプライム問題とコンプライアンス Part.1 』
~ アメリカの低所得者用住宅ローンで世界市場崩壊!?
いわゆるサブプライム問題の発端を振り返ってみよう ~
ウシ主任!! 主任は元証券マンですよね?
世界不況っていわれる現状のきっかけとなった『サブプライム問題』って、結局のところ何が問題なのかわからないんです。
まぁ、今さらなんですけど、これってコンプライアンスとは関係ないんですか?
『サブプライム問題』とコンプライアンスについて考える場合、大きく二つの問題に分けて考えることが可能デス。
まずは、『サブプライム・ローン』の貸付行為それ自体に内在する問題で、住宅ローン会社が信用度の低い(『サブプライム』と評価される)借り手に貸し付けを行う際に、短期間での金利上昇の可能性などについて、適切な説明がなされていたかどうかという問題。
次に、証券会社などが、その『サブプライム・ローン』を組み込んだ金融派生商品【デリバティブ】のCDO(債務担保証券)を顧客に販売する際に、資産価値の下落の可能性について適切な説明がなされていたかどうかという問題デス。
一つ目の問題だけだったら、住宅ローンの支払いが滞って、家屋を差し押さえられる人が出てくるという問題はあるけど、むしろ、それだけで済んだかも知れなかったんですね。
でも、二つ目の問題が絡んできたから・・・
実際のところ、金融派生商品【デリバティブ】を販売している証券会社などの担当者でさえ、自社のCDO(債務担保証券)にどういう割合で『サブプライム・ローン』が組み込まれているかよく分かっていないような状態だったんデスよ。
そんな得体の知れない金融商品を、国際市場を通して大量に売買してしまったから、世界中の金融機関が損失を出して、それがきっかけとなって世界市場が冷え込んでいったんですねぇ~
アメリカっていう一つの国の住宅ローンが、ここまで世界中に影響を与えるのか・・・
たぶん、次回に続く・・・
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント)
【監修】 田島総合法律事務所
<参考文献>
「Bear Stearns' Bad Bet」 (BusinessWeek 2007年10月22日発行号)
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