11.『内部通報者って、やっぱり損な役回り!?』
~ 精密機械メーカーの堂々たる報復行為 ~
室長、大手の精密機器メーカーで内部通報者が報復を受けたって話聞きました?
うむ、何でも社内のコンプライアンス通報窓口の責任者が、通報者であるAさんとやりとりしたメールを通報対象者である上司と人事部に送信したということのようじゃが、お粗末というかなんというか・・・
結局、Aさんは、通報対象者の上司が管轄している部署に異動させられて、部署外への連絡を禁じられる&資料整理しかしていない状態が続いているみたいですね。
人事の評価も、「長期病欠者」と同じだっていうんだから、相当低いみたいですし・・・
当然のことながら、その精密機器メーカーには、「通報者の保護」についての社内規則が存在していて、コンプライアンス通報窓口の担当者が通報者の特定につながる情報を開示することを禁じてマス。
ただ、今回の件で、メーカー側は「本人の了解を得て上司などにメールした」というコメントを出しているようデスね。
でも、それが事実だったとしても、コンプライアンス通報窓口の担当者がメールの転送に際して、通報者が今みたいな状態に置かれる可能性についてまで、ちゃんと事前に説明して本人から"了解"を得ていたのかどうか・・・
詳細は不明デスが、通報者に十分な説明をした上で"了解"を得ていたなら、そもそも弁護士会に人権救済を申し立てるなんて事態にはなってないと思いマス。
通報の内容自体は、『不正競争防止法』に違反するおそれがある行為に関するもので、通報によって発覚したその行為が実際に行われることはなかったということじゃ。
もし、通報された行為が実際に行われてしまって、そのことが後になって告発されていたら、会社として社会的に大きな損害を被っていたんじゃないかと考えられますね。
だとしたら、通報者は会社のために有益な通報を行ったわけで、その通報者に対して会社が加担した形で報復するなんて、チョット・・・
従業員が"社内"の内部通報窓口に対して通報を行うことに関しては、やはり色々と障害があるということじゃな。
内部通報制度を有効に活用したいのであれば、社内の通報窓口だけでなく、社外にも通報窓口を設置しておくとより効果的でしょうネ。
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント)
【監修】 田島総合法律事務所
<参照記事>
「社内告発で制裁人事、オリンパス社員が人権救済申し立てへ」 (09.02.27 読売新聞)
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