15.『音楽著作権と独占禁止法 Part.1 』
~ 音楽著作権管理のグレーゾーンを巡る攻防!! ~
JASRACが、公取委の排除措置命令に対して真っ向から対決する姿勢を鮮明にしましたネ。
公取委は、JASRACが放送事業者から著作権使用料を徴収する際に採用している"包括徴収"という徴収方法が、新規事業者の参入を阻害していると判断したようじゃな。
まぁ、現行の"包括徴収"だと、仮にJASRACの利用楽曲数を減らしてもJASRACへの支払額は変わらないので、他の管理事業者の楽曲を利用しようとする場合は、その分だけ余計に費用がかかることになりますからネ。
JASRACには、著作権使用料に関する「使用料規程」ってのがありますよね?
ボクはてっきり、その一曲ごとの金額に曲数をかけた合計金額を徴収してるもんだと思ってました。
一般の会社や個人が利用する場合は、「使用料規程」の金額にしたがって著作権使用料の支払いを行うのが通常だと思いマスが、放送事業者の場合は利用する曲数・時間が膨大ですカラ・・・
CMや映画などでは一曲単位で契約をしているようじゃが、番組制作で日々大量に音楽著作物を利用するテレビやラジオなどの放送事業者の場合、使用した音源をまとめて報告して権利処理ができるようなシステムでもないと、一曲単位で権利処理をしていくというのは現実的ではないのじゃろう。
だから、現状では下記の計算式を用いて算出した金額を著作権使用料として"包括徴収"するという方法が採用されているんじゃ
<計算式>
【各放送事業者の放送事業収入 × 契約年度別料率(平成21年度1.5%) = 著作権使用料】
JASRACはこの命令に対して、 (1)新規事業者の参入を阻害するような指示や要求などは一切していない、 (2)JASRACが今後採用すべき具体的な放送使用料の算定方法が明らかにされていない、 (3)今回の命令は、放送事業者の協力がなければ実行不可能な内容である、と反論してマス。
(3)の言い分は一理ある気がしますね。
だって、番組制作をほとんど下請け業者に任せてる現状からすれば、それぞれの番組制作会社が使用した音源について、放送事業者が全てを把握できるかっていうと難しいと思うんですよ・・・
そうだとすれば、JASRACが番組制作に利用した楽曲等の情報を全て把握するなんて、なおさら無理でしょうね。
公取委の意図としては、「"包括徴収"がダメだといっているのではなく、JASRACが四半期に一度行っているサンプリング調査の結果を"包括徴収"の算定根拠になる計算式に反映することはできるはずだ。」ということのようデスね。
音楽著作権の管理に関する問題点については、もう何年も前から指摘され続けているのじゃが、結局2001年に「著作権等管理事業者」が認可制から登録制に変わってからもJASRACのマーケットシェアはほとんど変わってないからのぉ
(次回へ続く・・・)
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント 音楽著作権管理者)
【監修】 田島総合法律事務所
<参照URL>
http://diamond.jp/series/closeup/09_04_04_001/
「独禁法違反の判断に徹底抗戦 ジャスラックvs公取委の行方」
(『週刊ダイヤモンド』 2009年03月30日)
http://www.jasrac.or.jp/release/09/02_6.html
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) プレスリリース
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.may/09052703.pdf
公正取引委員会 報道発表資料
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