16.『音楽著作権と独占禁止法 Part.2 』
~ 知られざる著作"隣接"権管理の実情!! ~
(・・・前回からの続き)
JASRACみたいな著作権管理事業者と音楽著作物に関する権利処理を行えば、それだけで全ての著作権の処理が済むんですか?
以前、クラシック音楽の動画共有の話で「著作"隣接"権」について扱いましたけど、その権利処理ってどうなるのかなと思って・・・
音楽著作物を利用する場合、著作権者の団体であるJASRACなどの著作権管理事業者の他に、著作"隣接"権者の団体である社団法人 日本レコード協会(RIAJ:レコード製作者の代表)及び芸団協 実演家著作隣接権センター(CPRA:アーティストの代表者)と著作"隣接"権に関する処理を行う必要がありマス。
一般的にあまり知られてないのじゃが、JASRACなどの著作権管理事業者については、実情は別にしても一応は複数の事業者が存在して競争原理が働くような形になっているのに対して、RIAJ&CPRAの2団体については、著作権法上の指定団体(文化庁所管)として、まさに"独占的"に放送事業者から使用料(「放送二次使用料」という)を徴収できる形になっていて、非常に有利な扱いを受けておるのじゃよ。
使用料の徴収方法についても、放送事業者とJASRACの間で定めた金額の約25%程度を支払うという形での契約になっているので、こちらも"包括徴収"なんデスよ。
JASRACがそうであるように、RIAJもCPRAも全ての著作権者・著作隣接権者を代表しているわけではないですよね? なのに、JASARCだけが"独占"といわれるのは、なんか不公平な感じが・・・
現在は、著作権法で認められているから問題視されてはいないのかも知れんが、実態を考えれば、このまま"独占"状態を継続させることは好ましいとはいえないのぉ
とはいえ、放送事業者にとってみたら、複数の著作権団体とそれぞれ交渉して著作権使用料の支払いを行うよりも、一つの団体と"包括徴収"による支払いを行っていた方が、はるかに簡便なんじゃろうな。
ちなみに、音楽業界の関係者は、著作"隣接"権の処理に関する「指定団体制度」と 「再販売価格維持制度」の2点について、公取委と定期的に話し合っているみたいデスね。
なるほど・・・
"著作権"の処理って、結構めんどうくさいんですねぇ~
<用語解説>
◆ 「指定団体制度」
国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体及び商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体のうち、文化庁長官が「指定」する団体によってのみ「放送二次使用料」を受ける権利を行使することができるとする制度(著作権法 第95条 第5項、第97条 第3項参照)
◆ 「再販売価格維持制度」
【新聞・雑誌・書籍・音楽CD(音楽DVDは対象外)・音楽テープ・レコード】の6品目の商品について、著作権保護の観点からいわゆる「定価(卸売価格や小売価格)」での販売を小売店に義務付ける制度
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント 音楽著作権管理者)
【監修】 田島総合法律事務所
<参照URL>
http://diamond.jp/series/closeup/09_04_04_001/
「独禁法違反の判断に徹底抗戦 ジャスラックvs公取委の行方」
(『週刊ダイヤモンド』 2009年03月30日)
http://www.jasrac.or.jp/release/09/02_6.html
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC) プレスリリース
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.may/09052703.pdf
公正取引委員会 報道発表資料
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