19.『シリーズ 【内部告発の力】 Part.1 』
~ 第1回 巨大エネルギー企業が辿った破滅への道 ~
パンダひろしも、特命コンプライアンス室に来て10ヵ月が経つし、少しは、コンプライアンスについて理解してきた頃じゃろう。
ということで、今回からしばらくコンプライアンスという考え方が世界的に有名となるきっかけとなった事件について、改めて確認してみようと思う。
特命コンプラインアンス室に配属になってから有名な事件は一通り調べたと思ってますが、まだイマイチ掴めてないのでありがたいです・・・(苦笑)
ではまず、第1回目は『エンロン事件』について扱おうと思うのじゃが、パンダまさしは事件についてどの程度知っておるかな?
当時の従業員からの内部告発によって、SPC(特別目的会社)を通した取引による損失の不正会計処理などが明らかになって、最終的に債務総額400億ドル超という、米国史上最大(当時)と言われた倒産劇を演じたんですよね。
この事件では、元CEO(最高経営責任者)とCFO(最高財務責任者)をはじめとした経営幹部が刑事訴追されただけではなく、巨額の粉飾決算を見逃した上、証拠となる文書を会社ぐるみで破棄していたとして司法妨害罪に問われた米国大手の監査法人アーサー・アンダーセンが解散するという事態にまで発展しましたネ。
アーサー・アンダーセンの司法妨害罪については、最終的に連邦最高裁で無罪が確定したのじゃが、エンロンの不正会計処理に加担したという報道で信用が失墜し、ほぼ全ての顧客が離れていってしまったので、"時すでに遅し"という感じじゃったな。
エンロンって、エネルギーを扱う会社としていち早く金融派生商品【デリバティブ】取引を始めて、あっという間に巨大企業になりましたよね。
まぁ、同じ時期から会計操作だけじゃなく、インサイダー取引などの不正取引やカリフォルニアの電力取引など法律の抜け穴を突いた合法スレスレの取引にも手を染めてたって話ですけど。
ボク、『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』っていうドキュメンタリー映画を観たんですけど、カリフォルニアで山火事が起こった時に大喜びで電力を取り引きしているトレーダーたちの会話を聞いていたら、さすがに怖くなりました...
エンロンのトレーダー達は、カリフォルニア州のエネルギー関連の法令を研究し尽くした上で、どういう事態が生じれば自分達が一番儲かるのかについて、あらかじめ想定していたようデスね。
業績好調の時は、20代のトレーダーのボーナスが1億円というのも普通だったっていうから驚きですよ!!
(トリ三郎・・・ いつの間に現れたんだか・・・)
〔執筆〕 田中 建太朗 (コンサルタント)
【監修】 田島総合法律事務所
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