本日からは,内部通報制度がありながらそれが機能しなかった事例,あるいは,制度は導入されてはいなかったものの,実際になされた内部通報への対処に失敗した事例を紹介して,あるべきコンプライアンス体制を考えてみたいと思います。
まず,最初にご紹介する事例は,昭和40年代に起きた事件ですが,つい最近まで裁判で係争されていた「トナミ運輸事件」です。
1 【事案】
大手貨物運送会社である被告トナミ運輸の従業員である原告が,被告会社が同業他社との間でヤミカルテルを締結しているなどと新聞社に対して内部告発したと ころ,被告がこれを理由として長期間にわたり昇格させず,不当な異動を命じて個室に隔離し雑務に従事されるなど,原告に対し不利益な取扱をしたとして,被 告に対し,雇用契約上の平等取扱義務,人格尊重義務,配慮義務等に違反する債務不履行又は不法行為に基づき,慰謝料,賃金相当額の損害賠償及び謝罪文の手 渡し等を求めた事案です。
第1審の富山地判の認定するところによれば(富山地判平成17年2月23日,労判891号12頁,896号5 頁),被告会社においては,ヤミカルテル以外にも,中継料の収受に関する問題がありました(=他社への中継運送の際に収受すべき中継料を,実質的には自社 のみの運送だが形式的に他社が介在しただけの場合にも収受していた点)。この点,原告はヤミカルテルの内部告発に先立ち,中継料の問題を副社長及び岐阜営 業所長に直訴したものの,何ら対処されなかったこともあって,ヤミカルテルについてはいきなり新聞社に内部告発の上,その後も公正取引委員会に告発するな どしました。
(続く)
1 【事案】
大手貨物運送会社である被告トナミ運輸の従業員である原告が,被告会社が同業他社との間でヤミカルテルを締結しているなどと新聞社に対して内部告発したと ころ,被告がこれを理由として長期間にわたり昇格させず,不当な異動を命じて個室に隔離し雑務に従事されるなど,原告に対し不利益な取扱をしたとして,被 告に対し,雇用契約上の平等取扱義務,人格尊重義務,配慮義務等に違反する債務不履行又は不法行為に基づき,慰謝料,賃金相当額の損害賠償及び謝罪文の手 渡し等を求めた事案です。
第1審の富山地判の認定するところによれば(富山地判平成17年2月23日,労判891号12頁,896号5 頁),被告会社においては,ヤミカルテル以外にも,中継料の収受に関する問題がありました(=他社への中継運送の際に収受すべき中継料を,実質的には自社 のみの運送だが形式的に他社が介在しただけの場合にも収受していた点)。この点,原告はヤミカルテルの内部告発に先立ち,中継料の問題を副社長及び岐阜営 業所長に直訴したものの,何ら対処されなかったこともあって,ヤミカルテルについてはいきなり新聞社に内部告発の上,その後も公正取引委員会に告発するな どしました。
(続く)
監修:田島総合法律事務所
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