このような社会背景の激変の中で,内部告発者の解雇・不利益取扱い等を禁止してその保護を図ると共に,社会経済の健全な発展を図る必要性はいよいよ高まり,公益通報者保護法が導入された訳ですが,この法律はあくまで公益通報者を保護するに留まる消極的な立法であり,それ以上に企業にコンプライアンスの高いハードルを課そうとするものではありません。
近年,消費者側の権利意識の高まりは顕著であり,不祥事を起こした企業への消費者からの批判が強まる中,公益や社会的責任への配慮と共にコンプライアンスは企業経営において重要性を増してきました。
近時,食品の偽装表示事件や自動車のリコール隠し事件など,事業者内部の従業者等からの通報を契機として企業不祥事が明らかになる事例が相次いでいます。主なところを挙げると次のような状況です。